プリンのテイクアウト店舗を経営している、たまごの発明オーナーの一條です。
さて前回の記事で、30歳から開業する経緯をお話したんですが、今回はその続きです。自動販売機の事業をやってみたくて、店舗を構えようとしたのですが、今に至るまでの道のりをお伝えします。
1からDIYで店舗を作った話
まず先に結論から言いますね。
確かに自動販売機をはじめたくて店舗を構えたんですが、思ったよりも店頭販売でやっていけるので、ダラダラと続けているというのが本音です。
ただ知っている方もいると思いますが、我が店舗は立地が最悪です。平日も土日も人がほとんど通らない道に面しています。
どう考えたって、店頭販売でやっていけるような場所でじゃないと自覚してます。なので今でも自動販売機の工場としてやっていこうという気持ちはあるんです。
まあとりあえずは、お店をオープンさせるまでの経緯を話します。
テナントはボロボロの廃墟だった
DIYでお店はキレイにすればいいと思っていたので、とにかく家賃を安いところを探していました。
とはいえこの場所、本当に最初はひどい状況でした。

これは2023年のテナントの外観です。
そして、こちらがテナントに来た初日の記録です。




見ての通りですが、正直かなり汚いテナントでした。
まず床には大量の虫の死骸とフンみたいなもんがありました。壁紙は交換されず、そのままヤニで黄ばんだ状態です。トイレは黒ずんでおり、中に蜘蛛の巣が張っていました。
まさに最悪の状態。こんなところからプロジェクトはスタートしたのでした。
ちなみにもっと前には、建築事務所があったみたいです。

長い道のり-DIYのスタート
おしゃれなスイーツ店にするため、孤独な戦いがここから始まります。
まずはアパートの周りを整える
最初に手を付けたのは、テナントの外周です。本来は共有スペースになるので、管理会社などが手直すはずですが、こんなテナントには手を付けてくれません。
じゃあ自分でやりましょう
【作業工程】
- 乱雑に貼られた防草シートを剥がす
- 地面を平らになおす
- 防草シートを敷き直す
- 砂利をまく
外周の変わり具合がこちらになります。この作業は2日間で終わりました。





内部を徹底的に解体する
次に内部にとりかかります。
作業工程はシンプルで、壁を壊すことです。
しかし、壁の素材には石膏ボードが使われており、これが燃えるゴミでは出せないのです。産業廃棄物として、工場に捨てにいく作業がとても大変でした。





電気配線をめぐらせる
壁を取っ払ったら、電気の配線を作ります。
電気工事士を持っているので、電気配線も自分でやることができます。あらかじめ、どこにコンセントが欲しいとか、照明はこんなモノにしようと計画していたので、スムーズに進めることができました。





壁に下地を打ち付ける
続いては、壁の中に下地を仕込みます。
例えば壁に棚を作ろうと思ったとき、下地が無いと石膏ボードに釘を打つことになります。石膏ボードはポロポロする素材なので、重い体重がかかると壊れてしまいます。
なので石膏ボードの奥に木材を仕込むのです。その木材に釘を打つことによって、重いものにも耐えることができるのです。つまり棚などを作ろうとしている場所に、木材を仕込む作業をするのです。





床を一段高く作る
壁の下地を入れ終わったので、次は床に取りかかります。
もともとの床はとても汚いのですが、これを全部剥がすのは大変な作業です。なので、上から新しい床を一段上げて作っちゃいます。
根太と呼ばれる木の枠を最初に作っていきます。






部屋全体に新しい木材を敷き詰めたら、いよいよフローリングを貼っていきます。
前の状態よりも10センチ弱、床が上がるようになるかと思います。





窓を壊してつける
次はちょっと場所を移動して、窓の改装に取り掛かります。
以前の状態の窓でも使えなくは無いのですが、昔の空気の悪いものが部屋にあることが嫌だったので、窓も全部新しくすることにしました。
そして取り付けてある窓というのは、そんなかんたんに外すことができないのです。
外すには一度外壁を壊す必要があります。もちろん大家さんに許可を取って、窓を交換するために外壁を壊すことにしました。




こうやって外壁を剥がすことによって、窓枠を固定しているネジが顔をだします。
あとはネジを緩めていけば、窓枠がすっぽり取れるというわけです。ただ窓を交換するという作業なのですが、その手間は計り知れませんね。
ということで、続いては窓を3ヶ所とっていきましょう。















さあ新しい窓を無事に交換することができました!
壁と天井を張る
また店内に戻っていきます。次にやることは、壊した壁と天井を作り直すことです。
壁にはしっかり断熱材を入れることができたので、石膏ボードと呼ばれる安価で、耐火性の強い壁を打ち込んでいきます。
この石膏ボードは基本どの家にも普通にある、壁の基本材料です。


断熱材のさらに上から、気密シートを貼っています。ピンク色のやつですね。
これを貼ることによって断熱効果が上がるだけでなく、室内の湿気を外に漏らさないので、結露防止やカビを発生させないなどのメリットがあるみたいです。
石膏ボードはただ貼るだけでなく、設置したコンセントの穴と同じように、石膏ボードにも穴を開けておく必要があります。





天井も同じように石膏ボードを貼っていきます。
じつは石膏ボード、見た目以上に重くて、そして壊れやすいです。ちょっとしたパワーと繊細さはいるのかなと思いました。




石膏ボードが貼り終わったら、隙間すべてにパテを埋めていきます。
壁紙を貼るのにデコボコがあったら破けてしまいます。キレイに貼るために、壁と天井を滑らかにする作業です。



パテを塗り終わって、しっかり乾燥したら最後の作業、壁紙をようやく貼ることができます。
壁に貼るのはまあまあ簡単なのですが、天井に貼る作業はかなり重労働でした。貼ったはずの壁紙が重力に負けて落ちてきてしまうからです。
押さえながら、まっすぐ貼れていることを確認しながら、ゼエゼエ言いながら完了させました。たぶん天井の作業は一人でやるもんじゃ無いです。









ということで、なんとか部屋全部の天井と壁を仕上げることができました。
外壁を張り直す
続いては、窓を取り付けるために剥がした外壁を新しいものに代えていきます。
しかしせっかく外壁を剥がしたので、中にある防湿シートを新しくし、通気がよくなるように胴縁と呼ばれる細い木材を仕込むことにしました。
外壁は既存のものと同じ窯業系サイディングを適用しました。





ということで、キッチンに絶対に必要な水道管も新しく延長してきました。
これでキッチンの水場が使えるようになりますね。

内装をどんどん作っていく
さあ最終段階。内装をどんどん仕上げていきましょう!
まずはトイレから作っていきます。最初ここに来たときは、それはそれはヒドイ空間でした。






汚い場所がキレイになると、こんなにも気持ちのいいものなんですね。
トイレの壁と天井も壁紙を張り替え、便座も最新のものを購入し、さらに長くキレイに使える環境を整えました。これで心置きなく用を足すことができますね。
次に洗面所を見ていきましょう。

まずは現状の汚い設備を撤去することから始まります。




我ながらおしゃれに作れたのではないでしょうか。
洗面ボウルにちょっとこだわりまして、まるでホテルにあるかのような設備にしました。さらにここにペーパータオルも取り付けて、洗面所の完成です。
続いては一番大事なキッチンに取り掛かります。
よく飲食店などではアルミ製のキッチン作業台などを導入しますが、僕は全部オリジナルで作りたいのです。費用も抑えられるし、いいこと尽くめです。さあ作っていきましょう。









本当はもっと見せたいのですが、ブログではあまり上手に届けられないです。
ここまで紹介したDIYは、すべてYouTubeで公開していますので、ぜひ気になる方は見ていってください!もちろん完成した様子も見ることもできます。
https://www.youtube.com/@kake_84
DIY期間は5ヶ月..しかし
ということで、このテナントを契約した状態から、どうやってスイーツ店にまで持っていったのかを紹介してきました。
そもそも何で自分でDIYする道を選んだのかと言うと..
- どこまで自分で出来るのか試してみたかった
- 初期費用を抑えるのは事業の基本だから
この2点に尽きますね。
まず初期費用についてですが、業者に見積もりを取ったのですが、確か500万円くらいだったと思います。
そして自分でDIYをした結果は、130万円くらいに収まっています。これは大きいですよね。
しかしDIYを完成させるまでに5ヶ月かかっています。普通の飲食店だったら5ヶ月間オープンできずに、工事してるなんてなったら、とんでもない家賃が無駄になってしまいます。
しかしここは家賃が32,000円。
そして2ヶ月は無料の契約だったので、96,000円だけ無駄になってしまいました。でも370万円は浮いたので、僕はプラスだと捉えています。
ただ何よりDIYして良かったのは、どうやって家ができているのか、電気配線はどうやって巡っているのか、快適な家とはどうやって作るのか、自分でキッチンを作ったらどんな感じなのか。
この全てが知れたことにあります。
おそらく業者に頼んでのんびり待っているだけであったら、何も知ることができなかったです。
「この経験を96,000円で買ったんだな」と思っています。とても良い買い物をしました。
しかしこれを見て、私も自分でDIYしてみようと思うなら、それはおすすめしません。
まず僕は元消防士ということもあり、体力もパワーもあります。DIYを通して、このパワーでなんとかなったことがたくさんありました。
誰しもがDIYで完成まで持っていけるとは思いません。
そして今回は家賃が32,000円という、特例中の特例です。普通のテナントであれば、さっさと内装を作って事業をスタートした方がいいでしょう。
5ヶ月間オープンしないというのは、その分の機会損失があります。1ヶ月で100万円売り上げるとしたら、500万円の売上の損失ということです。
だったら業者さんに頼んで、その分たくさん売り上げを作った方がお金は稼げるでしょう。
今回僕がDIYしたのは「ただただ、やってみたかった」というのが最大の理由です。
この先はもちろん、店舗拡大を狙っていますが、次からは業者さんにお願いすることでしょう。
しかし僕にはこのスキルと経験が身に付きました。どのくらいの作業量とか、原価がだいたい把握できます。
内装の見積もりを取って、ふざけた価格を提示されたら、とことん詰めていけそうな気がします。これは今後一生、役に立つことでしょう。
ということで、この記事が皆さんの何かの役に立てば嬉しいですね。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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